「北海道のブランドなら売れる」と言われました。

今津
農産物の市場調査で私はあちらこちらに出かけて行っています。ハバロフスクでは日本から来たスイカが8千円です。お米も日本国内で買うより高いですが、それでも特定の富裕層には日本の米はよく売れていますね。乳製品の評判は特に高く、ともかく北海道のものを買いたい、と言ってました。
石原
はあ
今津
昨年ニュージーランドの農林大臣が2度北海道の十勝に来ています。何のためにと聞いたら「中国に輸出したい」というのです。「あなたの国は酪農も盛んなのでしょう」というと「いや、『北海道』のブランドがいいのだ」そうです。いま北海道では残念ながら離農が相次いでいますから、その牧場と合弁会社を作ったり、そこを買い取って製品を『北海道』の名前で売りたいと真剣に考えているのです。
石原
なるほど。
今津
ハバロフスクでもウラジオストックでも「北海道のブランドなら売れる」と言われました。 サハリンに北海道の農産物の冷蔵施設付きの配送センターを作ることに去年高橋はるみ知事が署名してきています。これには旭川の卸売市場のキョクイチさんもいろいろアドバイスしていますね。ロシアのことですから計画通りに進むかどうかはまだ不明ですが、私も立地予定地やその他のところも見てきました。 今年は上川管内の議長会の皆さんをご案内してサハリンやロシアのいくつかの都市に行ってこようと思っています。これには農協の組合長さんも、若い組合員の人達にもできるだけ海外視察の機会を作っていただくようにお願いしています。
石原
はあ…
今津
北海道銀行がアムール地区で500ヘクタールの農地を借りてソバと大豆を作って大分収穫ができるようになってきました。道銀の堰八頭取は、今年は倍にすると言ってました。更にはもっと広くして「そこで飼料を作って北海道に安く提供したいのだが」と私は相談を受けています。
石原
大きなことをやっているのですねぇ…。
今津
ウラジオストック近郊では1万ヘクタールもの土地を新潟県が今年無償で借りる話が進んでいるようです。1億平方メートルですよ。もとは軍の土地だったところですがロシア側からは酪農を中心にやって欲しいと言われてるようです。 アムール川は中国と国境を接していて、中国人がロシア側のアムール地区でロシア人向けの農業をやっていましたが、化学薬品を使い過ぎるので危険だということでお断りしているようです。今では日本にこういう話がどんどん入るようになってきています。
石原
ほぉ~
今津
ロシア極東でも原油やLNGガスが開発されていて、人口の2~3%の人達は大変な裕福層です。その人達向けの需要はかなりあるようだ、と私は感じてきました。このロシア極東地域は肉も野菜も果物もほとんどヨーロッパ、中国、韓国などから輸入しています。でもみんな日本のものを欲しいというのですね。 これから我々はそのための法律や輸送インフラを整備しなければなりません。市場として考えたとき、サハリンは50万人、極東全体では600万人くらいの人口がありますから。 それだけでなく極東を拠点にしてモスクワ、サンクトペテルブルグなどに伸ばしていけるのではないかと私は構想しています。
石原
なるほどねぇ。

<第15回>国の力を借りれば「ものづくり大学」がすばらしい大学になる可能性は大です。