巨大労働組合とか公的組織に支えられた人や世襲の人やマスメディアで広く知られた人達が、国会議員になれる可能性は比較的高い。だが、いわゆる「看板」「地盤」がない人がそこに到達するには、よほどの決意や努力や偶然性が重ならないと難しい。
今回インタビューさせていただいた今津寛衆議院議員はその困難な路を切り拓いた方の1人だが、同様の人にかの鈴木宗男氏がいる。ムネオ氏には2009年「政権交代」選挙直前の6月に、私は本誌の7号でインタビューさせていただいた。
今津議員も、鈴木前議員も共にいま北海道を代表する政治家であり、年齢も近い。鈴木宗男氏は「アクの強さ」が際立ってクローズアップされがちだが、その実直さや行動力には定評がある。お会いして驚いたのは、それに加え「超絶的な記憶力」であった。
今回、今津議員と2時間対談させていただいて思うのは、その実直さと行動力はやはり宗男氏に匹敵しているということであった。今津氏の方が穏やかで紳士的である。お二人ともやはり情熱の人であり、心の広さを感じる。激しさの中に温かさがある。
2012年末の選挙では北海道でたくさんの自民党系新人議員が誕生した。新時代に新感覚の議員が活躍する日もやがては訪れるだろうが、その中に本物は何人いるか。当選11回の町村信孝議員に次ぐ6回の今津氏に北海道の期待が大きくかかっている。
ローマ史を書くと圧倒的な塩野七生さんは、リーダに求められる五つの資質として、知力、説得力、肉体の耐久力、自己制御の能力、持続する意志、をあげる。さて、わが今津議員は、旭川市長は、道義は、市議のみなさんはどうか。どうか。どうか。
激変する世界。奔放な流れの世界。広く共通化均一化する世界。弱肉強食化する世界の中で、国家も地方政治も、経営も、すべてはそのトップの指導力にかかっている。高い目標を掲げ、強力に、忍耐強い意志と行動が、未来への原動力だ。いつの世も。